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2021 BEST ALBUM

今年を振り返るとほぼ労働しかしていないのですが、出張がなんとなく許される時代に戻り、電車での長距離移動が増えました。そうすると、行きも帰りも流し込むように音楽を聴くわけです。

 

そう言う感覚の結果このような選択になるのかなと思う反面、やっぱり自分で良いと思ったのを順番に並べているだけなので、個人の物語的なことはやっぱり感覚の一部に過ぎないのかもしれない、とか。

 

なにはともあれ、10枚選びました。

プレイリストも作りましたが、こちらは流れを重視して作ったので順番はバラバラです。

 

では。

10.  quickly, quickly - The Long and Short of It

オレゴン州ポートランド出身。

とてもトラックメーカー的なアルバム。

 

DTMというかパソコンで完結するタイプの曲は”お部屋感”みたいな、箱ものっぽい何かがあるんですが、それがすごくハマっている作品だった。

壮大な方向じゃなく、このまま深いところに行った、みたいな次作が聞きたい。

9. Hovvdy - True Love

いろんな方がベストに挙げていた(気がする)アルバム。

良い曲を集めて良い順番に並べたらこうなった、みたいな作品。

個人的にはドラムが強過ぎないところが一番良いと思っている。

 

なによりHopeが名曲すぎて、最終的にそれ以外の記憶があんまり無くなったので、ベストを選ぶ前に再度聞き直して、やっぱり良いな...となった。

8. Injury Reserve - By the Time I Get to Phoenix

過去作をあんまり聴いたことがなく、これが彼らのカタログで初めて聴いた作品だった。

物語が色々あるのだけど、それを知らなくても音像でなんとなく伝わると思う。

ごちゃってしそうで一貫性があるところとか、器用なんだけど上手じゃないというか。

 

アルバムとしてのパッケージというか、ジャケとタイトルが完璧よな、とも思った。

7. Bachelor - Doomin' Sun

なんか乾いていて、淡々としていて、それでも漠然とした不満がある、という感じ。

歌詞を読み込んだことはないので、まるっきり見当違いかもしれないけど。

コロナ禍を考えなければいけない場面が多々あったのだけど、自分が思っていた雰囲気というか感覚にすごく近かった作品。

 

やっぱり見当違いかもしれないけど、それはそれで許してくれそう。

6. Genghis Tron - Dream Weapon

Genghis Tron、長年ぶりの二作目...らしいのだけど、実は今年初めて知ったバンド。

なんとも説明しにくいけど、音が好きで、丁寧に作られていて、素晴らしかった。

単純に聴くものとして、すごくよかった。

 

一作目より全体としてまとまりがあると言うか、長年待っていたファンはなんか違うと思うのかもしれないけど、何周もしたアルバム。

5. odol - はためき

odolは何年か前のFujiで初めて聴いたのだけど、それからあまり追っていなくて。

久しぶりに聞いてみようと探してみたら、ちょうど新譜が出ていた、という。

すっと入ってくるのになかなか外に抜けない、終電帰りの電車で聞きたいアルバム。

 

独り、名曲。

4. Eleni Drake - Can't Stop The Dawn

ベストが再生回数で決まるのであれば文句なしに一位だったと思う(次点はGenghis Tron)。

このサイトで過去作を対訳するくらい好きなアーティストなのだけど、これも素晴らしい新譜だった。

気だるい、と言うよりアンニュイなボーカルがとても良い。

 

別に住んだことなんてないけど、何故かロンドンに帰りたくなるような作品。

3. Chet Faker - Hotel Surrender

なんというか、他に言い方が思いつかないのでこう言うのだけど、Chet Fakerは人生が上手じゃなさそう。

自分が彼の作品が好きなのは全部そこなのだと思う。

 

どの名義で出した作品も好きだし、なんならヒット作のデビューよりそれ以降の方が好き。

今作のIt's Not Youとか、なんなんだろう...。素敵だなあ。

2. For Those I Love - For Those I Love

自分を肯定するためじゃないと言い聞かせつつ、それはそれとして、アクセントの乗ったボーカルがとても好き。

イギリスだけでも、For Those I Loveがこのアルバムで引き合いに出しているThe Streetsとか、今回はTOP10に入っていないけどSlowthaiとか。

Knucksのロンドンとしか言いようのない感じとか、含めるならSleaford ModsとかKate Tempestも。

 

音楽に国境はないと言うけど、それはそれとして地域性みたいなのは確実にあって、その土地っぽい何かは言葉にせよ音にせよ、何かあるはず。

その塊を見た、みたいなアルバムだった。

 

全編通して登場するこの陶酔感のあるシンセも、イギリス(もしくはヨーロッパ)のどうしようもない夜遊びの思い出みたいな、そうとしか呼べない感覚を再現した音、みたいな。

 

こんなに騒がしいのに、限りなく独りで聴くのをおすすめしたくなるアルバム。

1. Claire Rousay - a softer focus

説明のしようがあまりない作品。

迷わず、ダントツで一位だった。

 

 

生活をそのまま切り出したような曲たちで、一瞬ここでないどこか別の人生に間借りした気分になる。

音像的には全然写実的ではなく、そういう意味では脚色なのだけど、でもどうしても「そこにある」感じがする。

 

もし音楽に救いの要素があるということにするなら、今年自分にとっての救いは確実にこのアルバムにあったのだと思う。