JMXさんの企画に参加し、個人的な邦楽30BESTのリストを作りました。
結果、アジカンのソルファくらいは入るかと思っていたけど、一枚もBEST100には入らずでしたが、楽しんだ企画でした。
主催者のJMXさんや、リストを批判するとかではなく、いわゆる名盤というか、世間的に評価されているアルバムはこんなところなんでしょうという感じです(投票者群の世代的/界隈的な偏りももちろんあるとして)。
なんとなくざっくりと"良い邦楽"と言ったときには、主に限られたメディアで何度も「文脈」として取り上げられたものだったりを指すのかなと思いました。それはきっと各々の好みとはまた違ったところにあるような。名盤と呼ばれるものの中から、自分の好みに合うものを選ぶというか。
最近のアルバムでランクインしたものも、玄人好み的なというか、「新しい世代」として文脈付ができる形で話題になったものが多い印象。
そこに乗っかれなかった/ハマれなかった人間として、どうにもなんだかなと思い、そうして自分のリストを公開するに至るわけです。
文脈に乗れないというだけあって、確かに好みの一点(そこに自分なりの視点があるとしても)で選んだので、なんとも言い難いリストになりました。
1-10位より下は、日によって変わるかも。
それはそれとして、全部良いアルバム。
30 Jam Fuzz Kid - Chased by the sun
EP
2019
とりあえず、せっかく2019までという制約だったので、ギリギリの若いアルバムを入れたいなと。
なんというかとてもOasis。参照元は違うけど、和製版Greata Van Fleetといって差し支えない(?)。
でも何回も聞くとやっぱり日本ぽさがある。
29 Crossfaith - ZION EP
EP
2012
彼らの一時期の勢いは本当にすごくて、オリエンタリズム的な評価ではなく、本当に国外で天下を取る勢いだった。
それでいて、どうやっても日本からしか出てこないメタルというか。
このEPの勢いは今聞いても色褪せなくてすごいなと。
それ以降もEnter Shikariのボーカルをfeatするとか、なんというかいい嗅覚してるなと思う。
28 DYGL - Say Goodbye to Memory Den
アルバム
2017
Ykiki Beatも好きだったけど、アルバムとしてはこっちが好き。
アートワーク含めて、やりたいことをやれている感が良い。
もちろん洋楽的なイメージというか、そういう戦略もあるだろうけど、それでも戦略性なさそうに英語歌うとか。無理がない。
27 スキマスイッチ - 夕風ブレンド
アルバム
2006
一曲目がすでに結構ずるいのだけど、なによりズラチナガールとかいう卑怯な名曲が入ったアルバム。
彼らはこの雰囲気のアルバムカバーだった時期が一番好きで、素朴。
26 岩崎琢 -「C」ORIGINAL SOUNDTRACK
アルバム/サントラ
2011
エゴの塊みたいなサントラ。それでいて劇伴として機能してるし、アルバムとして(始まりから終わりまで単体で聞くものとして)も十分耐えうる偉大な作品。
OPとEDを、TVサイズで最後に持ってくるというあたり、徹底して自分の作品として強度をあげるという気概を感じるというか。それでいて自分の領分もわきまえているというか。配信されていないようで悲しい。
25 ELLEGARDEN - RIOT ON THE GRILL
アルバム
2005
自分の中高生時代を振り返って、ELLEGARDENは二枚くらい入れなければいけない気がした。
擦り切れるまで(比喩)聞いたアルバムの一つ。
粒ぞろいの曲を集めて、いい順番に並べて、っていういいアルバムを作る基礎を堅実に守ったというか。
24 Bennie K - Synchronicity
アルバム
2004
このチョイスだけは本当に趣味というか思い出補正感が強い。
でも、本当にたくさん聞いた。
たとえファッション的でもかっこよさを突き詰めるとこうなるのかと。
DiggyMO’とコラボしてる曲、SOUL’d OUT本体より好きかもしらん。
23 the pillows - LITTLE BUSTERS
アルバム
1998
the pillowsが持ってる日本のバンド感も稀有で、大衆性はまるでないのに全員に通じるというか。
海外で受けたのもFLCLってだけじゃないと思うのだけどなあ。
ベストが許されていたら、Rock Stockを選んでいたんだけど、次点でこれを。
22 haruka nakamura - MELODICA
アルバム
2013
nujabesじゃなくてこっちを入れた。
夕暮れっぽい暖かさ/儚さに溢れたアルバム。
lo-fi hip hop loop for studyみたいな動画がニンジャスレイヤー的な日本の哀愁だとすれば、伊賀の本場の忍者みたいなアルバムですよ(通じない)。
21 ASIAN KANG-FU GENERATION - ソルファ
アルバム
2004
あまりにも偉大なアジカン先生の、あまりにも偉大なアルバム。
良い曲を良い順番でアルバム②。
日本語詞のかっこよさでは群を抜いて偉いアルバムだと思う。
活動中期から少しずつ表層の意味というか、手に取れる言葉を歌詞に入れるようになる気がするのだけど、このアルバムとかは本当に飲み込まないとわからない。
20 Merzbow - Red Magnesia Pink
アルバム
1995
初心者に優しいMerzbow先生。
ノイズミュージックって全部一緒じゃないんだ、と思ったアルバム。
この手のジャンルで初めて、最後まで苦なく聞けたし、ちゃんとした作り手の美学を感じた。
19 ポルノグラフィティ - THUMP x
アルバム
2005
Merzbowとm1dy(このあと出てくる)で挟むアルバムじゃないでしょうと、自分でも思ったけど好きなのだからしょうがない。
ポルノもニッチというか、J-POPだけどなんだか居場所がないというか。
ほぼ全アルバムをフィジカルで所有しているんだけど、シングルの寄せ集め感が無いというか、一貫性のあるこのアルバムが一番好き。
18 m1dy - SPEEDCORE DANDY XXX
アルバム
2003
日本が世界に誇るSPEEDCOREの人。
このポップさというか、音MAD感はJの感じ。
エクストリームなジャンルを目指したいという感じじゃなく、好きなもの作ってたらBPMが上がってた、みたいな感じが好き。
初めて37 Dicksを聞いた時、キックに合わせて心拍数が以上に上がったのを覚えてる。
17 the HIATUS - ANOMALY
アルバム
2010
苦しみのアルバム。
一曲目からもう悲痛。
その分、後半の静かな部分が映えるのだけども。
1枚目がエルレを引きずった感じだったのを経て、余計そういう感じがする。
16 ASIAN KANG-FU GENERATION - マジックディスク
アルバム
2010
なぜかソルファよりこっちの方がアジカンは好き。
土っぽい感じがより強いというか。
新世紀のラブソングは天才の所業。
名実ともに日本を代表するバンドになったけど、一番の要因はどうしたって日本の音がするからだと思っている。
15 BOOM BOOM SATELLITES - Full of Elevating Pleasures
アルバム
2005
ある時期の本人たち曰く、最高傑作。
乱雑に分けるなら、BBSはこのアルバムを境に一期と二期が別れると思うのだけれど、これは大一期の集大成だと思う。
積み込みと勢いのバランスとか。Propellerとか、なんなんだあの曲は。
14 toe - Our Latest Number
EP
2018
今のところ、EPという媒体のなかでほぼダントツに好き。
ずるい曲がずるい順番で入ってる。
新アルバムに、これらの曲は入れないでほしいと、勝手に思っている。
13 トクマルシューゴ - Exit
アルバム
2007
楽器を買いにホームセンターに行く天才。
NHK教育テレビ的な音(伝われ)も日本特有/日本っぽいものだと思っているのだけど、それの最たる人だと思う。
おもちゃ箱というか。
12 80 KIDZ - Turbo Town
アルバム
2012
ダンスとロックの融合は山ほどあるけど、ちゃんとかっこいいのはあんまりない印象。
一聴しただけだと産地不明感あるけど、これは東京からじゃないと生まれないと思う。
途中のトランセルの鳴き声みたいな曲、好き。
このアルバムとは関係ないけど、去年行った彼らのクリスマスライブが、人生で行った中で一番いいライブだった。
11 やくしまるえつこ - RADIO ONSEN UTOPIA
アルバム
2013
最初はシングルだと思わず、EP扱いで「ノルニル/少年よ我に帰れ」を入れていたので、急遽差し替えに。
でも内容の濃さ的にEPと呼んでもいいのでは(?)
相対性理論より、なぜかこっちにハマった。
そしてここから10位以下です。
冒頭でも書いた通り、これ以降は非常に大事な作品というか、一生好きなのだろうなという感じです。
その作品を見て行く前に、冒頭に書くのをやめた、選考に関しての話しをば。
何か大きな特徴?としてあるとしたら、邦楽を選ぶということにおいて、日本語であるかどうかはあんまり重要視しなかった。
日本っぽさというか、たとえ国外/欧米にルーツのある音楽を由緒正しくやっていても、日本出身であることによる微妙な差異は必ずにじみ出てくると思っていて。
自分の出自なんかは簡単にどうにかできるものではないし、日本語の会話で生活し、日本社会で日常を生きているということから生まれる特有の質感/音は、たとえ英語で歌ったからと言ってどうということはないのです。
10 charlot - simultaneity
アルバム
2015
DTM界から。
東京での生活というか、なんかぼーっと流れて行く時間というか。
嫌いじゃないけど、みたいな微妙な感じが綺麗に出ているアルバム。
まだ上手く言えないけど、音像の表面はレトロでも、すごく新しい世代っぽい。
レトロというかジブリっぽいか。
9 ELLEGARDEN - ELEVEN FIRE CRACKER
アルバム
2006
人生で初めて、一曲もフィラーがないアルバムってこういうことなのかと思った。
全編に渡って一瞬も緩まず最後まで行く、理想形。
1枚目が一番いいという人がたまにいるけど、絶対それは無いと思っている。
8 フィッシュマンズ - LONG SEASON
アルバム
1996
一曲一枚。
ライブ版じゃないと認めない宗派もあるみたいだけど、自分はアルバムが好き。
始まりから終わりまで、どこかに連れていってくれる。
7 吉野裕司 -「狼と香辛料」O.S.T 狼と旅の音楽
アルバム/サントラ
2008
Cのサントラがエゴのサントラだとしたら、これは劇伴として完璧なアルバム。
オープニングとエンディングで挟んで、一つの物語として見せてくる。全体の雰囲気も全くブレない。
作曲者がハマったってのもあるけど、頭からちゃんとアルバムとして聞けるサントラとして、とても優秀。
6 LOVE PSYCHEDELICO - THE GREATEST HITS
アルバム
2001
1枚目からGREATEST HITSと名付ける度胸よ。
灰色の感じ、とても上手い。
英語と日本語の混ざり方や、宅録っぽさとか、こんなアルバム作ったら居場所なんかなかっただろうなと思う。
5 Haruka Nakamura - Twilight
アルバム
2010
孤独が音になったようなアルバム。
どうしたって日曜の夕暮れ感がある。浸れる。
最近でたスティルライフもとてもよかった。
4 supercell - ZIGAEXPERIENTIA
アルバム
2013
動画サイト的邦楽ポップの最高峰。
タイアップ/シングルカット群のせいで後半一瞬モタれるから4位だけど、それにしても。
執念で武装したような完成度。
BBSの中野さんとのインタビューを読んで、なんとなく納得した。
3 toe - Long Tomorrow
アルバム
2009
日本マスロック代表。
個人的に所謂マスロックは、変拍子とかより、哀愁というかエモ部分が大事なのだけれど、toeは日本独特の何かがある。
あとは各個人がプレイヤーとして偉いというそれに尽きる。
2 the HIATUS - The World of Pandemonium
アルバム
2011
このアルバム以降から、少しづつフェス向きというか、方向性が変わって行くのだけど、このアルバムはそれ以前と比べても独立していて、なんにせよ素晴らしい。
こんなに参加ミュージシャンも多くてカラフルだけど、一番インディーっぽいアルバムだと思う。
1 BOOM BOOM SATELLITES - TO THE LOVELESS
アルバム
2010
冷たくて、白くて、強い。
こんなに孤立しているアルバムは他にあんまりない。
初めて聞いた時から、自分の中でずっと一位なアルバム。
以上30選でした。